全層釣法 こんな海況ならどう釣る。

 Aパターン
◯低水温期・凪、弱風
○前提条件  冬季12月〜3月
天候 晴れ・風北西4m・波1m・澄み潮
○狙うポイント
磯際・近距離・棚8〜10m
○釣法
全層沈め

下記のBパターンと同海況条件下。(三浦ではこの海況が多い)

ここではよりグレの活性が低く警戒心が強い時期の釣り方を紹介してみよう。

仕掛け
ハリス5m、針4から6号軽量細軸(私の場合はスレ針)
ウキ00、ウキ止めを結びウキ30cm上に目印糸を結び、ガン玉は打たないが塩分濃度が高い時はナビ直下にガン玉G7あたりを打つ。
これでウキの動きを観察しながら目印糸がウキに近ずけば馴染んだ証なので、ここでラインスラッグを多目に出して更に馴染むことの確認をする。

馴染んだ後ウキがスッと沈んだり不自然な動きがあればロッド操作で軽く張りを掛ける。
ここでの注意点は付餌を動かさない張りです。

付餌が動く張りを掛けると警戒心が強いグレはこの付餌に見向きもしません。

ここでアタリがない時は思い切ってロッド1本分のスラックを更に出します。
ウキが沈んでいれば目印糸で、これも沈んでいればラインの模様や動きであたりを取ります。

撒き餌さと針は底付近で合わせるように撒くポイントを見定める必要があります。
これはグレの活性が多少でも上がると通常の釣り方では中層の30cmほどの小型グレに撒き餌を合わせてしまう場合があるからです。

ガン玉無しの状態でもハリス、針の重量が撒き餌さより勝るので仕掛けを投入する際は撒き餌と距離差を取った上でキャストする。
撒き餌、仕掛けキャストのローテーションが重なれば、同じ底付近のポイントへ撒き餌が効いて来るので
この時間差タイミングを活用する事で同調の煩わしさが軽減出来ると思います。


Bパターン
○低水温期・凪、弱風
○前提条件  冬季12月〜3月
天候 晴れ・風北西4m・波1m・澄み潮
○狙うポイント
磯際・近距離・棚8〜10m
○釣法
全層沈め


低水温でのグレの活性は低く、棚は深いと思います。

これは海底の瀬や根の中にじっとしている事がほとんどだからです。
高水温期に比べてグレの活動する範囲が狭いので、可能な限り付け餌をグレの口元近くまで入れ込むことが必要です。

ここで上記の条件での釣り方の一例をお話しします。
○仕掛け
ウキ:S〜M -0・0・00・000
0を選択する場合は下潮の状態によりガン玉を打つことを考慮する。
ハリス:1.2号  3ヒロ
針:グレ4〜5号
目印用ウーリー50cm毎3箇所結んでおく。

撒き餌は足元から潮上に出ていく引かれ潮か、通常の潮上から入れて、底での仕掛け同調を心掛けます。
ですが、ただ撒いてから仕掛けを入れるだけではなく、仕掛け回収時に数杯潮上に入れてから仕掛けを回収します。


これは仕掛けが軽く深い棚を釣る時のセオリーでもあります。
理屈は一つ前の撒き餌で、次の仕掛けのキャストで釣ると言うことなのです。



【仕掛けの重さにもよりますので、仮に重めの全層釣りの場合は理屈が異なりますので、あくまでも上記の軽い仕掛けでの全層釣法としての説明です。】

ハリスはフロロカーボン、針は金属と、これだけで撒き餌より早く沈んでしまいますので、一つ前の撒き餌で底合わせをします。

仕掛け回収時に撒いた撒き餌は、この仕掛けに底近くで追い越されて後から同調させるイメージです。

仕掛け投入前の撒き餌は、この仕掛けに追いつき第2番目の同調を演出します。

仕掛け投入後に撒く撒き餌は次のキャスト用として撒きます。

ウキが沈み、あたり棚が分かり辛いのでウーリーであたり棚を取ります。

あたりが有れば、ここをあたり棚に設定すれば、仕掛けの張りの強弱でハリス角度がつけやすく、釣れる確率が上がると思います。

棚決めをする場合、棚が浅ければ固定ウキでも良いのですがグレの口にはウキの重みがかかると吐き出されますので、ここでは、極力軽いウキを用いて、ウキ止めをなくす方法にて解説しておりますので、ウキ止め無しでの仕掛け作りが良いと思います。

特別なテクニックは要りませんので、手返しのリズムを前後の撒き餌の沈下スピードに合わせることです。

それには仕掛け回収、付餌付け、キャストのパターン速度を早める練習が良いと思います。


釣り方参考:
磯釣り小さなテクニックあなたもこれで必ず釣れる!をご覧ください。

中水温期・春季高波、強風

○水温16〜18度台水温期・高波・強風
○前提条件  春期3月〜5月
天候 晴れ・風北西6〜7m・波2m
○狙うポイント
近距離から払い出し先まで棚5〜7m
○釣法
全層

この季節になると地合いでは良型も浮い来ることがあります。

地合いでないときは、やや深棚まで探る釣りになると思います。

強風波高の条件だと軽い仕掛けよりは、やや重めの仕掛けが釣り易いですね。

ここでは、上記条件の状況での釣り方の一例をご紹介しましょう。

道糸1.7号サスペンド、ハリス3ヒロ、ウキ風や潮の速さにより2Bから5B、針は太軸4〜5号。

潮の状態を考慮しますがウキが波の下を潜るような浮力過多気味の設定にします。

下潮が速ければガン玉は段打ちにします。

この場合基本はガン玉は重い順に上から打ちます。

この下のガン玉に下潮を掴ませ、針先行で流すようにラインとロッドをマネージメントする必要があります。

大抵は払い出し先端でウキは止まり、撒き餌もこのカベで縦に溜まりますので、ここがポイントになります。下段画像参照
 
この際、ウキか先行していては潮壁を上から縦に探れません。
また、餌を咥えても鮮明にあたりが出にくいですから、必ず針先行で流す事が不可欠です。

針を先行させるためには、キャストし、着水時直前にサミングをして、ウキより針が沖に置かれるようにします。

ラインは直ぐに風上の海面に置きます。

風が強いとキャスト時に風下へ糸フケが出やすいのでこの時は、サミングと同時に風上へロッドを振ってスプールを押さえた指を解放して、ラインを風上へ大目に出します。
そして、直ぐにロッドを下に向けます。

思い通りのラインがトレース出来たら穂先を海水に突っ込みラインが風に干渉されないようにします。

ここからラインを流すわけですが、ラインが張られていてオープンベイルで押さえた指が弾かれるような流し方ではいけません。

この張りながらのラインコントロールでは、ウキが引っ張られ、付け餌が踊ってしまいます。

狙う潮壁まで流れるまで大きく風上へ向けてラインスラックを出します。
風にラインが取られるとトレースしたラインから仕掛けが外れてしまいますので、このスラックを置く位置には細心の注意が必要になります。

本流などでは張りながら流す事が殆どですが、この場合は本流ではありませんので、張ってしまうと仕掛けが浮いたままになり、下潮を流れる撒き餌のと同調が難しくなります。

潮壁まで遠ければ、この作業を繰り返すことで潮筋から外れないオペレーションが可能です。

また下潮が緩く、上潮が早い場合は、ウキ先行になり易いので出したラインは必ず風上へ置く事が肝心です。

このように上潮と風を味方につけることで狙ったポイントを直撃できると思います。

潮壁に入ればウキはグーンと沈みますので、ここからあたる棚を探るため、ハリス角度が70度ぐらいになるように適度な張りを掛けながら探ります。

ラインを緩めたままですとグレの居る棚より深く入ってしまう場合がありますのでラインの張りと送りは微妙なオペレーションが不可欠です。




6月〜7月

高水温期 凪・弱風

○水温20度〜25度台水温期
○前提条件  梅雨グレ6月〜7月
天候 晴れ・風南4m・波1m
○狙うポイント
近距離から30m  棚2〜5m
○釣法
全層

この時期になると厄介な餌取りとの戦いが始まります。
コマセの撒き分け、ヨレ、カベ狙い、仕掛けの工夫などいろいろと対策はあります。

ここでは一般的な餌取りの交わし方ではなく、筆者のアイデアを交えたトリッキーな方法をお話ししましょう。

上記の条件だと比較的に釣りやすい海況ですね。

ですので、撒き餌が流れる方向さえ判れば簡単に出来る方法です。

ここで工夫することは、敢えて仕掛けを重くして振り子の要領で棚を直撃するというやり方です。

波も無く風も弱いと0・00・000などの仕掛けを使いたくなりますが、これでは仕掛けが棚に入る前に餌取りや上の層のコッパグレの餌食になりやすいですね。

せっかく釣れたグレも狙いよりサイズが小さいのではつまらない釣りになってしまいます。

そんな海況ならではの逆発想の思考をしてみます。     

先ずは、ハリスをフタヒロ半ほど取り、当たり棚を探るためにBウキにガン玉を段打ちし、ウキ浮力よりオモリ過多にしてウキが沈む設定にします。

最初はヒトヒロ半あたりから探るのでウキはハリスの中に入れます。

この際のガン玉は潮の効きによって打ち方が変わりますが、ここでは、ナビゴム下にBを打ち、その下にG3・G5とウキが沈むように重い段打ちに設定します。

針は好みで良いのですが、沈みを優先するならやや太軸が良いでしょう。

しかし、太軸ですと喰いが悪い場合もありますので刺さり重視の細軸のスレのなどの針も口オモリでバランスを保てます。
針も多種類をケースに入れておけば喰わせる範囲が広がります。

先ず、撒き餌は潮上から潮下へ餌取りを足元へ横に移動させながら時間差を作り横長に釈を切って多目に撒きます。

これは塊より横長に撒いた方が餌取りをたくさん集めやすいからです。

本命ポイントへは、狙い棚あたりに入るよう硬い塊で投入し、狙い棚の下層でのポイントを作ります。

この際の沖ポイントへ入る撒き餌が効いているようにキャスト前、キャスト後に撒き餌を撒きます。

また仕掛け回収時に撒くなど狙い棚に撒き餌を
効かせておく事で、仕掛けと同調し易くなります。
もしも、沖にヨレがあれば、そこが理想的です。

ここでも、足元への撒き餌も忘れてはいけません。

仕掛けをキャストする際は、ヒトヒロ半下に針と撒き餌が同調するように撒き餌より更に沖へサミングキャストします。

仕掛けが重いので直ぐに狙いのヒトヒロ半へ沖から手前へ斜めに落ちて来ます。
◉下画像参照

この時の狙い棚でのラインの微妙な張りが肝心です。
ただ真下に落とすだけですと喰いが悪く型は獲れにくいです。

また狙う棚より沈んでしまいまうと棚ぼけになります。

活性が高い時はこれでも十分獲れますが、ここでは上記の条件での釣り方の説明とします。

この方法で型が上がらなければ棚の設定を下げて行きます。

この時キャストするポイントは棚が深くなった分だけ沖へキャストするようにします。

このようにヒトヒロ半からサンヒロくらいまで同じ仕掛けで探れます。

仮に当たり棚がわかれば、ウキを固定にするか目印糸などで当たり棚を決めておけば棚より深く入らないように張れますので効率よく釣れると思います。

ポイント
足元への撒き餌は欠かさず撒き続ける。

沖ポイントのウキより沖へは撒き餌を絶対に撒かない。

潮の速さによってハリスに打つガン玉を工夫する。

これぐらいの工夫でも意外と効果がありますので一度お試しください。
7月〜9月
超高水温期 

○水温22度〜27度台水温期
○前提条件  夏磯
天候 晴れ・風南2〜5m・波1m〜1.5m
○狙うポイント
近距離からのヨレ・遠投30m  棚2〜5m
○釣法
全層

この季節の日中は餌取りが大量に湧いていることと思います。

この時期の画像のような海況では、仕掛けを流す潮筋に撒き餌を流してしまうと、あっと言う間に餌取りの餌食になってしまいます。

餌取りも撒き餌が入るという学習をしてしまうと、もうキャストと同時に付け餌が取られている事がほとんどです。

さらに餌取りを観察出来ないような沖や、潮濁りなどがある場合や、この時期に慣れていないと仕掛けをキャストして仕掛けが馴染む前に直ぐに付け餌が取られていても、それに気が付かず、そのまま空針を流している方を多く見受けます。

これでは、つまらない釣りになってしまいます。

それでは、この海況でどのように餌取りを交わすかの一例を説明してみましょう。

ここでは、餌取りを交わす方法として引かれ潮を用いた方法を説明していきます。

仕掛けを流す潮筋には撒き餌は撒かず、引かれ潮筋にだけ撒き餌を撒きます。

この下記画像のヒットポイント2箇所を狙う場合ですが、仕掛けは右からの潮筋に乗せて流し、撒き餌は左からの引かれ潮の潮筋に乗るように撒きます。

これでヒットポイントで付け餌と撒き餌が出会う演出をします。

さて、ここで次に2つの課題があります。
1・撒き餌と同調して釣れる層に仕掛けが入っているのか。

2・ハリス角度が合っているか。

1について、棚取りを空振りしたり、小型の層に仕掛けと撒き餌が同調していまっていることも良くあります。

見えない海中ですので、ここで海況情報をどう判断するかが重要ですね。

そこで良型を獲るための『棚』を探るためウキ下を変えてみてください。

ウキ止め無しの全層で探るのですが、これはある程度の探り当てる経験が必要になります。

ですが、これでは上手くできないという方も少なくありません。
そこで簡単な方法がウキ止めなどを用いてウキ下を変える事です。

ヒットポイントで、釣ったサイズが小型であればその棚を覚えておき、そこからウキを固定にしてウキを狙い棚まで沈めたり、ウキ止めを結び誘導幅を取り、狙い棚をしっかり取ります。

また、ウキ下を上下させて釣れる型を考察します。         

この時期は浮いてくる事が良くありますので、その時間帯に居つく棚、喰い上がる棚を考察して工夫していことも必要です。

また、グレの層より深く入ってしまうと喰って来ませんので、沈め過ぎないよう棚取り作業は慎重に行う事が大切です。

これもビギナーの方に陥りやすい沈め過ぎがあります。

全層で探る時には、沈め過ぎもデータ取りには不可欠ですが、棚が決まれば、前述したようにウキを固定にするか、なるほどウキ留めなどでウキを止める棚取りをした方が効率的に釣れます。

この時期はウキの重さを感じても、張り戻しなどの誘い方によっては付餌を口から離す事が比較的少ないので、棚取りが決まったら、ウキを固定にするか、ウキ止めを結ぶことをお勧めします。

また、喰いが渋いと判断した時は、ウキ止め糸を結ぶことや、固定はやめて、道糸に目印糸を結んでおくのも良い方法です。

この目印は遠投では見にくいのでラインピッチなどの色で判断するのも良いでしょう。

ただし、ウキの浮力はシブシブにしておく工夫も忘れずに。

2について
タナを探り当てても喰い上がる角度とハリス角度が合わないとハリスを避けるように撒き餌のみを喰うのも良型グレの特徴です。

棚が決まり、ラインの張りを掛けてハリス角度を取る。
先ずはハリス角度を70度あたりにして、この角度をベースにラインの張りや送りをしながら様子を見ます。
ハリス角度といっても、アタリ棚の深度にもよりますので、棚が深ければガン玉を打って下潮に揉まれないようにします。

棚が浅ければティップで操作できます。

この1と2の作業をこまめに繰り返せば型に出会うチャンスは高くなります。

全層の場合、ウキを沈めながら流す事が多いのですが、この時期は棚が比較的浅いことが多いのでアタリ棚が決まれば、ウキ下を決めて、より効率的に獲る方が短い地合いにも有利だと思います。

棚が掴めないと何処で喰って来るかが分かりづらく、仕掛けの角度も付けにくく、垂直の仕掛け立ちでは釣れても、小型が多いと言う釣果になってしまいがちです。

全層釣法と言ってもこの時期は沈めると言うよりは、探る釣りですので棚毎の情報を取る工夫をすることが良型を獲る近道かと思います。

まとめ
引かれ潮に撒き餌を撒く。

棚を把握したらウキを固定にするか、ウキ留めを付ける。又は目印糸を結ぶ。

棚取りが決まれば70度くらいの角度に張れるように仕掛けを演出するためのラインコントロールを行う。