第33回シマノジャパンカップ覇者田中修司氏対談
2017年11月シマノジャパンカップ決勝戦が五島列島福江地区手代の西にて行われた。
田中氏は第29回大会優勝•第30回大会準優勝とシマノジャパンカップでは常に上位に位置する実力者である。
今回の対談ではこの決勝戦での戦い方を詳しく解説して頂いた。
釣座に立ち、先ずは潮を考察し、ポイントに設定する潮筋を決める。
そこへ30杯程撒き餌を連続して撒く。
敢えて自ら釣るポイントを作り、そのピンポイントでの棚を探る作戦のようだ。
前半は潮筋を見違え対戦相手にリードを奪われるも後半にて良型連発で逆転優勝を果たす事が出来た。
この良型を連打した時の仕掛け、釣技とコツを詳しく解説していただいたので、ここで掲載してみよう。
ハリスを4.5m取り、ウキ止めを直結部分上20cmに結び、潮の状況を考慮して、ウキは浮力調整可能なシマノDVC、潮状況にて仕掛けの沈下速度を考慮し、ガン玉は打たず針は短軸のヤイバシブグレ5号、(ヤイバテスターをしておりこの針が高性能とのこと)ロッドは昨年秋に発売されたマスターチューンイソ1号で組み立てる。
ウキについてだが潮の強弱によって下ぶくれタイプか細身タイプかを選択する。
どんなタイプのウキを選択するかにより仕掛けの沈下速度が変わってくるので、潮を詠みウキを選択することも重要なファクターだと言う。
仕掛けがヨレに入るまではラインスラック(糸フケ)を敢えて出し、ラインは張らず、ウキを引っ張らないように深く入れ込む。
仕掛けがヨレでスッっとしもれば、そこでロッドを適度に立て、ラインスラックを伸ばし狙う水中を聴いてみる。
この場合、下潮が効いているならハリス角度がついているので極度の張り過ぎは行わない方が良い。
その際あたりが無ければロッド操作でラインをおおよそロッド1本分(約5m)出し、更に深く入れ込む。
この時のロッドマネージメントとラインマネージメントが肝心で、ラインを放出した後、ロッドを少しずつ風上に傾けて空中に出ているラインだけ適度な張りを掛ける。
仕掛けはあくまでも撒き餌さの沈下速度と同じように沈めて入れ込む。
更に狙う棚に入った時、又はウキが沈下する途中で、スゥーっと吸い込まれる水中ヨレを捉えたら、先程と同じようにスラックを取り除く分だけロッドを立てさらに聴いてみる。
ここで、ロッドを立てる時に水中のラインやウキを引っ張らないように注意する。
あくまでもスラックを取り除くだけの作業だ。
このパターンで当日の良型棚を探り当てたようだ。
この日の良型の棚はおおよそ7m程。
特に低水温期の深棚を狙う際は、棚ボケしやすいので、聴く時以外はラインは張らず水中に入れ込んだウキを動かさない事が肝心のようだ。
つまり仕掛けが引っ張られないオペレーションならオーケーという事だ。
この棚を短時間で的確に掴むことで、対戦相手が30cm代を釣る中、田中氏は40cmオーバーを揃えられる棚を捉えたのである。
やはりその時に釣れる棚を掴む工夫が必要で、ウキが沈んでいても、目印糸を結んで置く事で棚をつかみやすいとも言う。
棚ボケする原因としては以下のような事が考えられる。
•ウキの形状による沈下速度とイメージの誤差。
•メンディングによるラインの上下動による棚のズレ。
•ウキが沈んでいるのであたり棚が何処かを掴かめない。
など、原因は色々あるのだが、釣りをスタートしてから、一投、一回収毎に確実にデータを取り込み、それに伴うオペレーションを重ねるマネージメント作業が不可欠だとも言う。
グレを釣り分ける上で、棚取りの重要性を知る解説であった。
その他、ロッドマネージメント、針の選択方法、ハリスの考え方など、ハリスの意図的な沈下のさせ方など、田中氏ならではの奥義も授けて頂いた。
今後もこのサイトで田中氏による貴重なアドバイスを掲載していこうと思っている。
「乞うご期待を❗️」
田中修司氏 後話
「釣りを始めた頃、良く釣れた時を思い出す。難しくなったら、基本に忠実であった釣りを再現して原点に還ること、また、釣行毎に反省することも釣技の上達にも繋がる。」
「次回のジャパンカップでも金メダルを目指す様、努力します。」
最後にこう言っていた時の、穏やかで輝いた瞳が印象的であった。
対談に際し、長時間を割いて頂きありがとうございました。